2024年6月4日の東和ブログにて、『【鉄筋コンクリートの特徴】と【かぶり厚さ】①』
というタイトルで、【鉄筋コンクリートの特徴】について説明しました。
今回は建物の寿命を大きく左右するほど重要な【かぶり厚さ】について説明します。
前回ブログにも記載しましたが、「かぶり厚さ」は建物の耐久性・耐火性を確保するために必要なものであり、「建築基準法施行令」にも規定されています。型枠工事や鉄筋工事はもちろんのこと、スリーブ工事の際にも「かぶり厚さ」は関係しています。
「かぶり厚さ」を簡潔に言い表すと、「コンクリートの表面」から「鉄筋の表面」までの距離(厚み)のことをいいます。建築基準法では、この距離(厚さ)を一定距離確保しなければならないと規定しています。(下写真の赤丸矢印部分)
「かぶり厚さ」を確保する理由は、【鉄筋を腐食(錆び)させない】ための処置です。
鉄筋コンクリート構造に使用されている「鉄(鉄筋)」と「コンクリート」は相性が良く、お互いの長所と短所を補完することで耐久性を向上させています。
コンクリートの弱点である「引っ張る力」を鉄筋にて抑えることで耐久性を維持しています。鉄筋が錆びてしまうと脆くなり、引っ張る力で鉄筋が破断してしまいます。
理論上ではコンクリートはアルカリ性なので、中の鉄筋はサビづらくなります。
しかし「かぶり厚さ」が確保できていない(厚みが薄い)場合、コンクリートの表面が常に大気中の「酸性」の気体と触れている状態なので、徐々にアルカリ性が減少して「中性化」してしまったり、劣化や衝撃で表面のコンクリートに亀裂や剥離(はくり)が生じて鉄筋が露出してしまうと腐食(錆び)が発生してしまいます。
鉄は錆びると広がっていき、また膨張する性質を持っているので、コンクリート面の亀裂・剥離も錆とともに広がります。これを「爆裂現象」といいます。(下記写真参照)
スリーブ工事にてスリーブ材を設置・取付ける際にも、爆裂現象を防止するために「かぶり厚さ」を確保する必要があります。墨出し作業の際に「かぶり厚さ」範囲までマーキングすることが一般的になっています。(下記写真参照)
各現場(設計)ごとに、「かぶり厚さ」の設定寸法値が異なる場合があるので、事前に確認する必要があります。
当社では、現場OJT等にて施工に関する指導・教育を実施しています。