建築現場で作業をしていると「【スミ】を出す」というワードをよく聞きます。
この【スミ】というのは【墨】のことをいい、図面に記載されている構造体や対象物の形状や位置、その寸法を線や印(しるし)にて書き出す作業です。
前回のブログの最後にちらりと「墨壺(すみつぼ)」というワードが出てきましたがこれも「墨を出す」作業に使用する道具のひとつです。
「墨つぼ」は「池」と呼ばれるところにある綿に墨汁を入れ、糸に染み込ませてピンと張り、弾くことで線を引くための道具です。
他にも、墨を出す道具で「墨差し」と呼ばれる箆(へら)状の竹筆があり、墨つぼの「池」に入れた墨を染み込ませ、印(しるし)をつけたり、文字・数字を書きます。
これらの道具を使い、「墨」にて線を引き、印(しるし)をつけ、文字・数字等を書く作業のことを「墨付け」または「墨出し」作業といいます。
墨出し作業の歴史は古く、古代エジプトや中国でもおこなわれており、日本でも飛鳥時代に建てられた世界最古の木造建築「法隆寺」にも墨出しをおこなった跡が確認されています。
「墨つぼ」も古代エジプトで生まれ、中国において改良されてのち日本に伝わり、今のような「墨つぼ」になったと考えられています。
「墨つぼ」は形こそ変わりましたが現代でも大活躍しています。「墨差し」は「マーカー」で代用するようになり、使用する職人さんは少なくなりました。
今後のブロクにて躯体・内装工事での墨出し作業の手順も紹介していきます。
当社では、躯体工事・内装工事に関する各墨出し作業を請け負っています。