建築現場にて躯体工事に携わっていると【かぶり厚さ】という言葉をよく聞きます。
「かぶり厚さ」は、建物の耐久性・耐火性を確保するために必要なものであり、建築基準法施行令にも規定されています。型枠工事や鉄筋工事はもちろんのこと、スリーブ工事の際にも「かぶり厚さ」は関係してきます。今回は「かぶり厚さ」を説明する際の予備知識として「鉄筋コンクリートの特徴」について説明します。

現在の日本の建物の多くは、「鉄筋コンクリート構造(RC造)」で建てられており、特にマンション建築ではその殆どが鉄筋コンクリート構造を採用しています。
材料として使用している【鉄(鉄筋)】と【コンクリート】は非常に相性が良く、お互いの長所と短所をバランスよく補完した構造となっています。
「コンクリート」は圧縮性(押し付ける力)に強く、引張力(引っ張る力)には弱い性質があり、形状や力のかかる方向によっては折れてしまったり、割れて崩れてしまうおそれがあります。

「鉄(鉄筋)」は圧縮力(押し付ける力)に弱く、容易に曲がってしまいますが、引張力(引っ張る力)に対しては粘り強く、簡単に折れたり、ちぎれたりしない性質があります。
また鉄は火に弱く、錆びやすいという欠点もあります。

「鉄筋コンクリート」は、双方の長所を活かし、短所を補う構造となっています。
①耐震性
コンクリートの引張力に弱い性質を引張力に強い鉄(鉄筋)で繋ぎ止め、鉄の曲がり易い性質をコンクリートで固めることで抑えます。また、鉄筋を網目状に組むことで、地震などの衝撃により建物が変形しにくく、倒壊のリスクを低減することができます。

②耐蝕性
コンクリートの主成分のひとつであるセメントの材料にアルカリ性である石灰石が含まれており、また「セメントと水」が化学反応を起こして固まる際に強いアルカリ性に変化します。酸化に弱く容易に錆びてしまう鉄(鉄筋)をコンクリートでしっかり覆う(埋める)ことで酸化を防ぎ、長期間にわたって強度を維持することができます。

③耐火性
鉄(鉄筋)を不燃材であるコンクリートで覆うことにより、火に弱い性質の鉄を熱から守ります。

以上が、「鉄筋コンクリート」の主な特徴です。
【鉄筋コンクリートの特徴】と【かぶり厚さ】②では本題の「かぶり厚さ」について解説します。

 

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